Blog 2013.6.30 『木曜日の午前の哲学』の話 of 尾米タケル之一座

2013.6.30 『木曜日の午前の哲学』の話

6月に入ってからは、毎週水曜日に読み合せのために稽古場を借りていた。
なので全然はかどらずにいたコントの台本を「水曜日にはとりあえず読み合わせできるように一本は書き上げて
いく」と自分の中で締切を設けていた。

先週の水曜日も締切に間に合わせるため徹夜が続いていた。そのまま読み合せに行き、夜帰宅すると流石に疲れて
その日は早く寝た。

翌日は朝の7時に目が覚めた。

いつもはまだファミレスにいる時間。

体中の筋肉が、「プラスチック混ざってるんちゃうか」と思うくらいバッキバキに固まってて、
精神的にも毎日おんなじことの繰り返しで滅入っていたので

「たまには心に豊かさを」と、気分転換に喫茶店に行っておいしいコーヒーを飲みながら分厚いトースト
をかじって本でも読みたいなと思った。

でも家の近所に思い当たる喫茶店がない。

まず空いている喫茶店が思い当たらない。

一件あるけど、おっさんが態度悪い。

態度悪いだけじゃなくって、味も悪い。

そうでなくても味悪いのに態度悪いから余計にまずく感じる。

あそこでは「豊かな時間」は過ごされへん。

「そういえばあの時あいつムカついたわ~!」

あ、あかんあかん、心豊かな時間を過ごすんやった。これは新規開拓するしかない。と思ってパソコンを開いて
調べてみたけど、全部ランチの時間からしかオープンしてない。

調べてるあいだに8時になってた。

「あかん!豊かな時間が!!」

焦る僕。今思えばこの時点で「心の豊かさ」は遥かに遠のいてたけど

何が何でも豊かな時間を過ごしたい僕はとりあえず、外に出て歩こう!

そしたら神様がきっとええ感じの店と巡り合わせてくれるはずや!と急いで身支度を整えて家を出た。

友人に預かってる犬に「おい!どこいくねん!こら!」と朝からワンワン吠え立てられてイライラしながら。

この時すでに犬は警告を発してくれてたんやなって言うのも、今やから思える話。


外に出てとりあえず青梅街道を歩いた。

駅に向かって早足に歩いている出勤途中の人たちの流れを逆流する。

「俺、仕事とちゃうで~。今から喫茶店で贅沢な時間過ごすねんぞ~」と社会的敗北者である自分の立場を
華麗なくらい棚に上げた優越感にひたりつつ。

この状態はボクシングの試合で最終ラウンド終了のゴングが鳴った時に、明らかにボコボコにやられてた側
が威勢良くガッツポーズするのに似てる。

そうでもしないと、落ち込むくらいしかやる事ないっていう。


家出る前になんとなく想い描いてた店は案の定片っ端から閉まってた。

一駅ぶん以上歩いた。

「最悪あそこやな」と思ってた隣駅の駅ビルにあるパン屋兼カフェみたいなところに向かった。

妥協して向かった先で「またや!またこれや!」に出会った。

「分煙」のおかげで、禁煙席はスッカスカ。喫煙席はギッチギチで座られへんやつ。


「豊かな時間のコーヒー飲みながらのタバコは妥協できへん」とさらに店を妥協する。

最近できた「サンマルク」へ向かう。

結局、チェーンになるんか。

最近は客に選択する余地がなくなってきてるよな。スマートフォンもそうや!
ニュースで「スマートフォンの売り上げが!」ってやってるけど、携帯ショップ行ってもスマートフォン
しか置いてへんやんけ!と豊かさを詰め込むはずの心の中で沸々と苛立ちをたぎらせながらサンマルクに到着。

トーストなんてものはなかったのでカッチカチの冷たい目玉焼きが乗ったパンとコーヒーを持って2階へ行って
みると「またや!」パート2。
喫煙席ギッチギチ。喫煙席と禁煙席で流れてる時間が同じとはとても思われへん。

とりあえず禁煙席座ってパンをやっつけた。

「豊かに・・・豊かに読書を!」と思って本を開く。

ここで「またや!」Bパターン!

こっちの方が堪えるねんけど、冷房ガンガンで体が痛くなるやつ。

それでなくてもこっちは体中の筋肉にプラスチックが混入してるのに!

この「どこ行っても冷房ガンガン」はこれだけで文章一つ書かなアカンほどムカつく。

一昨年の夏の節電ムードはどこいったんや!深夜まで電気消して、明るい店は非国民みたいになってたのに!

この時期に長袖着てて寒いってどういう事やねん!ジャンバーか!ジャンバー持ち歩かせる気か!!
こらぁ~!直風やめぇ~!とエアコンの送風口を睨み付けること数十秒。

肉体限界で退店。

サンマルク滞在時間7分。

また30分程歩いて家に帰った。

「まだ、まだ午前は残ってる!家で豊かな時間を過ごそう!」と

豊かさどころかノックアウト寸前のハートを何とか支えながら帰宅。

家のドアを開くと

玄関には犬のウンコが転がってた。

こっちが普段せえへん事をすると犬も普段せえへん事をするらしい。

このトリッキーなカウンターパンチは完全に僕の心をへし折った。

ああ、豊かな時間・・・。

「どんなに求めても手に入らへんモンもあるな。その反対に欲しくもないのに手にせざるを得ェへんモンもある」と
トイレットペーパーで犬のウンコを掴みながら哲学した木曜日の午前中でした。