Blog 2013.3.19 『反原発』の看板おろします。 of 尾米タケル之一座

2013.3.19 『反原発』の看板おろします。


夏にコントライブを行います!

今回のライブは「反原発コントフェス」ではありません。

内容も「普通のコント」です。

というか、「普通のめっちゃおもろいコント(予定)」です。

「“普通の”ってなんやねん?」という話ですが(笑)。

なので皆さん、どうぞなんのお気兼ねもなく、じゃんじゃん「原発のことに関しては考え方が合わない」お友だちをお誘いください!

「え~?反原発~?」と怪しい宗教の勧誘に向けられるような目をされる心配もありません!

そう言っておいて「原発のコントをするのか」と思われた方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。

正真正銘「普通のコント」ライブです。

と言うとそれはそれで、「反原発のコントちゃうんかい」と思われる方、もっと言うとがっかりされる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれないので、こうなった経緯を少し書いておきたいと思います。

2011年7月。一座を結成した当初は、とにかく一人でも多くの人間が「原発反対」と声を上げることが大事だと思いました。今も一人でも多くの人に明確に意思表示して欲しいという想いは変わりません。

しかし、2012年1月に開催した「反原発コントフェス」、その後の映像制作などを通して日に日に大きくなていったのは「反原発」という看板が僕たちに目を向けてくれる人を限定してしまっているというジレンマです。

去年一年、様々なイベントや集会の主催者の方に呼んで頂いて、南は九州から北は青森まで、色んなところでスイシンジャー、その他のコントをさせて頂きました。本当に有難い事です。しかしお客さんのほとんどは集会やデモに来ている「原発に反対している」人達。「無関心な人たちに関心を持ってもらう」という僕たちの目的には程遠い状態です。

小出さんに出演していただいた、「異形編」以降、数本の動画をYOU TUBEにUPしました。皆さんに「異形編」の様なものを期待されているのはひしひしと感じていました。
「ひしひし」というか、もう「グリグリ」と胸に拳を押し付けられる程に感じています(笑)。

しかし、それをしなかったのは、「異形編の様なもの」を作っても、また「異形編を評価してくれた人たち」が見てくれるだけで新しい層には届かないだろうと思ったからです。

出演してくれる方が変われば多少は見てくれる方も入れ替わるでしょうが、それでも広い視野で見れば「この問題に対し意識を持っている」人たちでしょう。

僕達が異形編以降の作品で試みたのは、『タブーである原子力問題を、お笑い、バラエティーのネタのレベルまで引き下げる事』でした。

しかし、この試みは残念ながら『反原発』と思いを共にする人たちにも受け入れられなかったようです(笑)。

事故から2年が経過し、「原発やその他僕達が直面している危機に対して意識を持っている人達」と、「これまでどおりの日常」を生きている人達の間には、一部の人間たちによって確信犯的にフェンスの様なものが張り巡らされてしまったように感じます。このフェンスは日常を生きる人たちから見れば『檻』にも見えているかもしれません。

そしてこの檻は時間の経過とともにどんどん狭められて、どんなに正しいことを叫んでも檻の外の人には声が届かない、「檻の中のやつらまたなんか言うてるわ」という状況になりかねないと思います。

檻と社会との間に距離ができ、檻の存在すら目に入らなくなるかもしれません。

原発反対の檻を大きくする努力も、檻の中から叫び続けることももちろん必要です。

ただこの檻はいつでも自由に出入りができるのです。

僕たちは『同じ想いの人たちの中で叫ぶ』のではなく、檻の外に出て『日常』を生きる人達と同じ場所に立ってみたいと思います。

『反原発』の看板を降ろし、『反原発』を入口にするのではなく、「コント集団」としての活動を広げ、僕たちの訴えている事にも目を向けてもらう。

飲食店で例えると、『美味しい反原発料理の店』を目指すのではなく、まず『おいしい食堂』を作り、そのメニューの中に「反原発料理がある」というイメージでしょうか(笑)。

僕たちに出来るのは「おいしい料理を作る努力をする」事だけです。

このお店が繁盛するには、常連さんである皆さん(このブログを読んでくださった方は自動的に常連さんと認定させて頂きます(笑)。)に新規のお客さんを連れてきていただく他ありません!


皆さんの周りにも一人や二人は居ませんか?

デモや集会に誘っても絶対に来ない。原発の話をしようとしたら煙たがる。でもコントやお芝居だったら誘ったら来そうな人。

そういう人を是非とも誘って来てください!

「この店うまいなぁ」「やろ?これも結構うまいで」とさりげなく反原発料理を勧めて頂く、もしくはある日メニューの中から発見して頂く。

遠回りのようですが、拒絶反応のアミをかいくぐって懐に飛び込むにはこれくらいしなければならないと、去年一年の活動を通して痛感しました。

『伝える手段』に対する試行錯誤。皆さんが頭を悩ませている部分だと思います。

ここではっきり言いますが、自分達が、たかがコントライブを行うにあたって、こんな風にごちゃごちゃと口上を述べるのはめちゃくちゃ恥ずかしい事ですしカッコの悪い事です!

「こいつ何ごちゃごちゃ言うてんねん」と思いながらここまで読みすすめて下さった方!僕にもありますよ!その自覚。「俺、何ごちゃごちゃ書いてんねん」って(笑)。

でも、そういう個人的な感情よりも、尾米タケル之一座を応援して下さった皆さんに、僕たちの真意を説明しておかなければならない、と感じました。

“観に来てくれるお客さん”がいないとコント集団は成立しないのです。

もちろん共感して頂けない方もいらっしゃる事と思います。

しかし、僕たちは今ある共感よりも大きな可能性に挑みたいと思います。

この途方もない試みを育んでくれるだけの豊かな土壌が、日本の社会にもある事を、心より祈りつつ、夏のコントライブにむけ、面白いことを考える作業に戻りたいと思います。

まぁ、なんやかんや言うたけど、おもろい事やりたいだけやねんけどね!!


尾米 タケル